SCIS2007

OoX2007-01-28


他のISの方用にこちらにも一部転載しておきます。

SCIS2007のレポートを報告します。
長谷川さんと小島君と一緒に長崎の経済特区ことハウステンボ
スに行ってまいりました。
SCIS2007は各セッションはテーマ毎にブースに分かれており、
一人の発表時間15分、質疑応答は5分という形式でした。

以下、印象深かった発表を述べます。

個人的に面白かった内容としては鶴丸 豊広さんの( 三菱電機(
株) 情報技術総合研究所 )"Group Covariant Protocols for
Quantum String Commitment"
という発表でした。
量子で安全なビットコミットメントができないというnegative
な結果の証明が発表されていることは有名ですが、それに代わ
りstring commitmentというものが存在するらしく。簡単に言
うと'bit'ではなく'string'をコミットするというものです。(
そのままですねww)古典ではうまくいかないらしいのですが、
量子ではうまくいくschemeらしいです。ちょっと発表時間の都
合で応用例等を割愛されてしまっていて少々残念でしたが、ま
た卒論が終わったら読んでみようと思います。

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二日目以降の内容で面白かったものを紹介しておきます。

格子問題のセクションでは格子問題を解く研究を期待していた
のですが、既存のナップサック暗号に対する攻撃の発表が中心
でした。
その中で宮澤 俊之さん ( NTT情報流通プラットフォーム研
究所 )の" 量子公開鍵暗号の実装方式 "という発表が興味深か
ったです。
内容としては量子公開鍵暗号OTU2000では鍵生成の際に、discrete
logarithm
問題を解かなければならないので量子計算機を用いるのですが
、本発表ではこれを改良して有限体を利用することで鍵生成を
古典の計算機で行うというものでした。やはり古典の計算機で
実現したことが面白く、発表後に自分も量子公開鍵に関して興
味があることを宮澤さんにお話ししました。快く連絡先を教え
ていただき、卒論後に安全性等気になっていることを伺おうと
思います。

量子暗号以外ではIDベース暗号が面白かったです。
簡単に説明すると公開鍵暗号では公開鍵を第三者機関に登録し
て、証明を受け取るのですが、この暗号方式ではユーザの公開
鍵にユーザの名前や住所、メールアドレス等を使用することに
よって公開鍵証明書を必要としないというものでした。
しかも、秘密鍵を一回のプロトコルで捨ててしまうという点は
非常に僕のテーマとして類似があり、第三者機関の負担減とい
うことも合わせて興味深い内容でした。
公開鍵暗号ではユーザの秘密鍵は漏れないという仮定のもとで
議論されてきましたが、情報漏えいが最近問題になってきてい
るので秘密鍵を取り替えるという考えが根本にあるようです。ID
ベース暗号の他に放送型暗号等、最近考案された暗号プロトコ
ルもありました。各要請や状況によって様々な新しい暗号プロ
トコルが提案されていることを知ることができ、それだけでも
学会に参加できたのは有益でした。(教科書的な本に載ってい
る暗号だけが全てではないということですね。)

全体の総括として、発表の準備不足がありありと分かるものが
多かったです。
きっと、面白い研究なのにそれだけで損をしているものが多数
見受けられました。
ポイントとしては
・発表の成果や面白い点がよく分からない。
・字や数式の羅列で専門の方以外でなければ情報量はほぼ0と
いったスライド。
・発表の際にボソボソしゃべり過ぎて全く聞き取れない。
等が目につきました。
僕も卒論発表が近いので、これらを意識しつつ発表準備をしよ
うと思いました。